≪未完の夢【第1回】≫
2003年11月1日 彼女に気づいたのは、白いスカートがシンプルであか抜けしてたからだ。
彼女は静かに校長室の外に立って、窓の外を眺めて、なにかボソボソと言っていた。私はちょっと気になったので、近づいて行ってたずねた。
「誰と話しているの?」
彼女は振り向いた。太陽が突然私の目に飛び込んできた。すごくきれいな顔、明るく輝くひとみと真っ白な歯、長いまつ毛。照りつける太陽の下、金メッキでもしたかのように輝いて見えた。彼女は言った。
「私、木の葉と話していたの。木の葉はね、外は天気がいいね、ピクニックにぴったりだよ、って言ってるよ。」
彼女のキラキラした笑顔、私の心に突然痛みが走った。何とも言いようのない痛みだった。私は彼女の目の中に寂しさを見て取った。
再び彼女に会ったのは、彼女が教壇の上に立っているときだった。担任の先生がみんなに紹介した。
「こちらが新しいクラスメートです。名前は“夢”さんです。」
夢、私は心の中で繰り返してみた。教壇の上の彼女は、まだおとなしく、世間のことがよくわかっていない子供のように、人前で何をどうしたらいいのかわからない様子だった。彼女の席は私の席のそばになった。先生は言った。
「Summerさん、あなたは班長だから、寮の部屋も同じにします。面倒を見てあげなさい。」
私は夢の肩をポンとたたいて、笑って言った。
「安心して。守ってあげるよ。」
彼女は私の前に立って、笑うに笑えないような顔をして私を見た。何年も経ったあと、私はこの時のことを思い出して、やっとわかった。最初から私は全くの無力だったのだ。
私たちは土手にすわっていた。だれかが花火を打ち上げた。花火は空へ昇って行って、パッときらびやかな花を開いた。そしてすぐに流れ星のように流れ落ち、消えた。夢が言った。
「花火って寂しいね。長い間待ってて、最後の一瞬のためだけに打ち上げられて、空中で音も出さずに広がって、みんなは美しい光の花を見るだけ。だれも花火の喜びとか悲しみを理解してはくれないのよ。」
私は横を向き、彼女を見た。彼女の顔は花火に照らされたり、暗がりに溶けこんだりしていた。ふたつの瞳は計り知れないほど深みを増していた。この時の彼女は、こんなふうに初めて会った人みたいで、私は少し狼狽していた。私は自分の手を見つめた。青白く力がなかった。握り締めてみた。空気を捉えただけだった。私は自分が何でもコントロールできるものと思っていた。でも、彼女をコントロールできていないことにふと気がついた。なんだか恐い気がした。彼女はたぶん私がいつもと違うことに気がついていたのだろう、小さな声で私に言った。
「どうしたの?」
私は何も言えず、なんだか泣き出しそうになっていた。
written by 默默般奔pao;
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2003080817171643
彼女は静かに校長室の外に立って、窓の外を眺めて、なにかボソボソと言っていた。私はちょっと気になったので、近づいて行ってたずねた。
「誰と話しているの?」
彼女は振り向いた。太陽が突然私の目に飛び込んできた。すごくきれいな顔、明るく輝くひとみと真っ白な歯、長いまつ毛。照りつける太陽の下、金メッキでもしたかのように輝いて見えた。彼女は言った。
「私、木の葉と話していたの。木の葉はね、外は天気がいいね、ピクニックにぴったりだよ、って言ってるよ。」
彼女のキラキラした笑顔、私の心に突然痛みが走った。何とも言いようのない痛みだった。私は彼女の目の中に寂しさを見て取った。
再び彼女に会ったのは、彼女が教壇の上に立っているときだった。担任の先生がみんなに紹介した。
「こちらが新しいクラスメートです。名前は“夢”さんです。」
夢、私は心の中で繰り返してみた。教壇の上の彼女は、まだおとなしく、世間のことがよくわかっていない子供のように、人前で何をどうしたらいいのかわからない様子だった。彼女の席は私の席のそばになった。先生は言った。
「Summerさん、あなたは班長だから、寮の部屋も同じにします。面倒を見てあげなさい。」
私は夢の肩をポンとたたいて、笑って言った。
「安心して。守ってあげるよ。」
彼女は私の前に立って、笑うに笑えないような顔をして私を見た。何年も経ったあと、私はこの時のことを思い出して、やっとわかった。最初から私は全くの無力だったのだ。
私たちは土手にすわっていた。だれかが花火を打ち上げた。花火は空へ昇って行って、パッときらびやかな花を開いた。そしてすぐに流れ星のように流れ落ち、消えた。夢が言った。
「花火って寂しいね。長い間待ってて、最後の一瞬のためだけに打ち上げられて、空中で音も出さずに広がって、みんなは美しい光の花を見るだけ。だれも花火の喜びとか悲しみを理解してはくれないのよ。」
私は横を向き、彼女を見た。彼女の顔は花火に照らされたり、暗がりに溶けこんだりしていた。ふたつの瞳は計り知れないほど深みを増していた。この時の彼女は、こんなふうに初めて会った人みたいで、私は少し狼狽していた。私は自分の手を見つめた。青白く力がなかった。握り締めてみた。空気を捉えただけだった。私は自分が何でもコントロールできるものと思っていた。でも、彼女をコントロールできていないことにふと気がついた。なんだか恐い気がした。彼女はたぶん私がいつもと違うことに気がついていたのだろう、小さな声で私に言った。
「どうしたの?」
私は何も言えず、なんだか泣き出しそうになっていた。
written by 默默般奔pao;
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