その意地っ張りな男の子は、道の向こう側の街灯のそばの木の下でずっと立っていた。彼の背筋はまっすぐに伸び、真っ白なシャツを着ていた。彼はずっと前から夢のことが好きだった。夢はカーテンを閉めてしまって、それからすみっこをちょっとめくって、その男の子のことをじっと見つめていた。彼女は顔を窓にもたせかけた。小さな啜り泣きの声が聞こえた。
 「どうして彼にチャンスをあげないの?あなた自身にとってもチャンスでしょ?あなたは彼のことが好きなんでしょ?」
 私は彼女の顔をこちらに向けた。彼女は首を振って言った。
 「私、彼のことを受け入れることなんてできない。私の心のなかには、底無しのブラックホールがあるの。自分でも何が必要なのかわからないし、彼がわかるはずもないわ。私は彼に幸せをあげることなんてできないのよ。」

 夢は安心するということのない子だった。彼女の心は休む場所を求めていつもさすらっていた、でも、そんな場所は見つからなかった。彼女は言った。
 「世の中にはこんな鳥がいるの。生まれつき両足がなく、飛びつづけるしかなくて、風の中で休むの。一生で一度だけ地面に降りるときがあるのだけれど、それは、死ぬとき。」
 そして、彼女はその鳥なのだ。私は言った。
 「私があなたに家をあげる、いっしょに住むの、ずっといっしょよ。あなたを守ってあげるわ。」
 これが私の約束だった。私はそれまで約束などしたことがなかった。でも、いったん決めたら、破ったりしない。彼女は笑った。心のそこからの笑顔だった。笑顔の中にはなにか別のものが混ざっていた。でも、当時の私はそれに気づかなかった。
 「ほんとうにこのままでいられるんだ。ずっと楽しく笑って。長い間ずっと。」
などと思っていた。

 大学では、私はいっしょうけんめいに勉強した。手を休める暇もなく、なんでもかんでもやっていた。考えることはたったひとつ、早く仕事について夢を迎えに行く、それだけだった。たまにしか来ない彼女の手紙で、彼女がいい生活をしていないことを知った。おばさんが彼女を追い出して、彼女は仕事を探さなければならなくなった。彼女は世間知らずで、ずっと子供のままだ。私は手紙を書き続けるしかなかった。
 「がんばれ、がんばれ、私が卒業するのを待ってて。迎えに行くからね。」
 と書いていた。

written by 默默般奔pao
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