とうとう4年が過ぎた。私は好きな専攻を捨てて、ある外資系企業に入った。すぐにお金がほしかったのだ。そして、やっとこの日を迎えた。駅から出て、一目で彼女を見つけた。彼女は変わっていなかった。私たちはまるでタイムトンネルでも通ってきたように、また4年前に戻った。2人の女の子がはだしになって、土手の上に座って内緒話、鈴の音のような笑い声を振りまいた、あのころに。私は近づいて行って、彼女を見た。彼女のまつ毛には以前のように日の光が踊っていた。そうそう、これが私のよく知っている笑顔だ。うんうん、何にも変わってないよ。彼女は私の髪をなでながら、言った。
 「あなた髪を切ったのね。」
 「そう、いろんなことにわずらわされたくなかったからね。」
 私は笑いながら言った。
 「約束を守りに来たよ。あなたを連れて行くからね。」

 次の日私たちは私の住んでいる町に戻った。夢の荷物はかわいそうなぐらい少なかった。

 彼女はずっと友達の家に身を寄せていた。十数人がひとつの部屋に詰め込まれ、吸殻やビール瓶がそこらに散乱していた。部屋の中には針金が渡され、
そこにはめいっぱい毛布や靴下や下着までもが掛けられていた。夢はまっすぐに入って、いちばん奥のベッドまで行くと、ベッドのそばの旅行用バッグの中に洗面用具を入れて、出て来た。私はバッグを手に提げ、彼女の手を引っぱりながら、足早にこの悪夢のような場所を後にした。

 道中ずっと何も話さなかった。彼女は
 「怒ってるの?」
 とたずねた。
 私は振りかえり彼女を抱きしめて、泣きながら言った。
 「そうだよ、怒ってるよ。自分に腹が立つの。もっと前から、ずっと前からわかっているはずだったのに、あなたがいい生活をしていないってことを。もっと早く帰って来るべきだった、ごめんなさい!」
 彼女は私の背中をたたきながら言った。
 「よしよし、泣かないでね。すべて過ぎ去ったことよ。」
 彼女をきっと幸せにする。もうひとりにはしない。でも、幸福って何だろう?たぶん私にもよくわかっていない。私は私が理解している幸福というものを、彼女の脳に注入したが、これが彼女にとっても幸福であるのかどうか、それまで考えたこともなかった。

 私たちの家は簡単なものだったが、暖かくすてきな香りにあふれていた。夢はいろんな布を探してきて、カーテンやクッションを縫った。テーブルには生き生きとした花が飾った。彼女は私たちの家を夢の世界の花園みたいにしてくれた。私は毎朝出勤して、午後に帰った。家では夢がご飯を作って私を待っていてくれた。夕飯が終わって、パソコンの前で仕事をしているとき、彼女はそばにすわって本を読んでいた。時々、私は彼女を連れて散歩に出かけた。リラックスして快適な毎日が過ぎて行った。私は自分が作ったこの生活に酔いしれていた。しかし、夢がどう思っているのか、見落としてしまっていた。私がいないとき、彼女はどうやって時間をつぶし、寂しさをまぎらしているのだろう?私は彼女を自分のものだと思っていた。横柄にも彼女に
 「これはダメ、あれはダメ。」
 などと命令していた。彼女は言い返しもせず、ただ私が用意したものすべてを受け入れていた。

written by 默默般奔pao
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