手紙のやり取りが進むにつれて、ある日とうとう虹雨は私に写真を送りたいと言い出した。そして私の写真も送ってほしいと。その時、虹雨の姿をとても見てみたいと思ったけど、そんな考えはやはりやめにした。以前にある雑誌で、こんな話を読んだことがあったから。

  ある男の子と女の子が文通をしていた。2人はとても気が合っていた。彼らはお互いに気心がわかっている、と思っていた。ある日、彼らは好奇心を抑えきれずに、ある場所で会うことにした。会った後は、知り合ったころの喜びなど忘れて、失望して別れてしまった。お互い、相手が想像と違っていたからだった。そのあとは、手紙のやり取りさえしなくなってしまった。

  私はこの話を虹雨にした。
  「ほんとうの友達は心と心のつながり、そんな神秘的で美しい雰囲気をこわす必要があるのかしら?」 
  と言って。虹雨はそのあとの返事の手紙では何も言わなかった。ただ、彼が撮った写真は露出し過ぎで写っていなかった、と書いてあり、その後は2度と写真の話はしなくなった。彼がうまい言い訳をしているのか、それとも・・・それは、わからなかったが、わかりたいとも思わなかった。こんな友情に包まれているだけで、私は充分だったから。虹雨はこうも言った、
  「今、友達のパン屋さんを手伝っているんだけど、毎日忙しくて疲れているけど、とっても充実して楽しい。」
  それを読んで、私もうれしくなった。何もすることがなく時間をつぶす苦しさを知っているから。日々の生活の中で、頼るところも身をあずけるところもなくひとりでいることなんてできない。そんなことになったら、彼は空しい幻のような脱け殻になってしまうだろう。

written by 喬群
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