夜の帳が降りるころ、星たちが遥か遠くの空から私たちの小さな影を見つめていた。月は丸く、明るかった。「小柔、お月様は何に見える?」私は月を指差しながら彼女に話しかけた。小柔は月を見たり私を見たりしていた。瞬きをすると空の星より明るかった。「ほら、お好み焼きみたいじゃないかい?」私は身振りを交えながら言った。小柔はつばを飲み込んだ。舌を出して唇をなめ、力いっぱいうなづいた。彼女のおなかがゴゴロゴロと鳴るのが聞こえた。

  私は小柔に言った。「帰ろう。」小柔は4つの泥人形をポケットに入れ私の手を引っ張った。私はからだを曲げて言った。「さあ、お兄ちゃんがおんぶしてあげるよ。」

  帰り道は芭蕉の林を通らなければならなかった。お母さんは行くところのない孤独な霊魂が芭蕉の木に憑いていると言っていた。夜になると彼らのウーウーという鳴き声が聞こえてくるようだ。

  林の中を行くと突然一陣の風が吹いてきて、芭蕉の葉っぱがザワザワと音をさせた。あの大きな葉っぱが月明かりで霊魂が揺らめく姿に見えた。

  小柔の手がきつく私の首に巻きついて、顔は私の首のところにうずめていた。

  恐くないよ、小柔。お兄ちゃんがいるじゃないか。お兄ちゃんが歌を歌ってあげるね。;空が真っ暗になってきて 星がキラキラと輝き出す 虫が飛ぶ 虫が飛ぶ あなたは今誰を思っているの 空の星は涙を流し 地上のバラは枯れ 冷たい風が吹く あなたがいっしょにいてくれさえすれば……

written by 羊子??
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