そのときひとりのやせっぽっちの男の子が小柔の手の絵を取り上げると、ビリビリと何度も破り足元に投げつけた。小柔は慌ててそれを拾い集めた。小さな手は彼の足に踏みにじられた。「小唖巴、小唖巴。」その男の子は甲高い声で叫んだ。

  私はカチンと来た。私はフェンスに登り飛び込んで行った。その男の子をつかんで押し倒した。彼は転んでわぁわぁ泣きじゃくった。小柔は紙を拾い集めると、ひとつにまとめ指差して私に見せた。それはお月様だった。

  「あなたはどこからやって来たの?帰りなさい。家の人に会いに行きます。」小柔の先生は私の服をつかんで私に怒鳴った。

  夜、お父さんに罰として庭に正座させられた。季節はすでに晩秋、庭はアオギリの枯葉が風に吹かれて私の肩に舞い降りた。

  小柔は家から私の目の前に走り出てきた。手にはあのつぎはぎの絵を持っていた。月がひとつ。あの夜私たちが丘の上で見た月といっしょだった。私は小柔に言った。「あの月はお前の顔といっしょでまん丸でキラキラしているね。」小柔は私に笑いかけ、力いっぱいうなづいた。

written by 羊子??
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