(三)虫が飛ぶ、虫が飛ぶ

  小柔は15歳になると春の露を含んだ花のようになった。明るい瞳は二筋の清らかな泉のようだった。黒髪は花びらのように背中に流れ広がっていた。お母さんは、「小柔は大きくなった。きれいな娘になった。」と言った。小柔の顔にはきれいな赤い雲が浮かんで、頭を下げて恥ずかしそうに笑うと、丸いえくぼができた。

  もうすぐ小柔の誕生日というころ、お母さんは県に行って生地を買い、新しい服を小柔に作ってやった。帰り道は小型タクシーだった。

  お母さんが車から降りると、後ろからきれいなおばさんがいっしょに降りてきた。お母さんは小柔をそばに呼んでしっかりと抱きしめた。顔は涙で濡れていた。

  小柔は手を伸ばしてお母さんの涙を拭いた。目には驚きの表情が浮かんでいた。

  「小柔、小柔。」そのきれいなおばさんは手を伸ばし小柔の頭をなでた。やはり目には涙をためていた。

  お母さんは突然立ち上がるとおばさんのもとへ小柔を容赦なく押し付けた。小柔は彼女に抱かれながら、懸命に首を振った。力を振り絞って押しのけると、しっかりとお母さんに抱きついた。涙が頬をつたい流れ落ちていた。

written by 羊子??
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