「ちがう!小柔はボクの妹だ、妹なんだ!」私は駆け寄るとしっかり小柔を抱いた。おばさんにつれて行かれないように。しかし、お母さんは小柔を彼女のほうに押し付けた。お母さんは私に向かって叫んだ。「行かせてやりなさい。行かせてやるのよ。お母さんといっしょにね。」お母さんは私の手を引っ張って小柔から引き離した。

  小柔はおばさんに無理やりタクシーに乗せられた。ほこりを舞い上げ車は行ってしまった。車の窓の中の小柔の顔は涙でグショグショだった。彼女の口は「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」と叫んでいたが、声は出ていなかった。彼女の目には恐ろしさと痛みの表情しか浮かんでいなかった。私の心は容赦なく引き裂かれた。

  私はお母さんの制止を振り払い、一生懸命その小柔を載せて遠く離れて行く黒塗りの車を追いかけた。

  村境まで追いかけたころにはタクシーずっと遠くなっていた。私は舞い上がるほこりの中、大声で小柔の名前を呼んだ。顔じゅう涙で濡らしながら。

written by 羊子??
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