深夜、墟には乱れた足音と呼びかける声が響いて、墟の夜の静寂を破った。この音と声はしばらくの間相譲らなかったが、その後風雨とともに音は遠ざかり小さくなっていった。李銘はある師団が北湾に進攻して来た物音だったということを知っていた。

  そしてすべてがまた元どおりの静寂に戻ると、部屋の戸の外でかすかな足音が聞こえた。

  誰だ?彼は問うた。そして危険を察知して立ち上がった。

  戸の外では何かが倒され壊される音がした。それに続いて誰かが木の階段から転げ落ちる音がした。

  次の日の早朝、仲居は赤く腫れた顔を隠しながら茶壷を持って入って来た。

  「何事が起こったのだ?」李銘は笑いながら尋ねた。

  「大事件なんです。」仲居は顔の赤く腫れたところをずっとなでながら言った。「大事件なんです!昨日の夜、県ではすでに隊を召集して出動したようです。私は……私は義軍に疑われてあやうくやられるところでした。あの、昨夜はよく眠れましたか?」

  「自分のことは自分で、だな。」李銘は旅館を出るとき、笑いながら言った。

written by 林.向
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