白い長袍を着た李銘は次の日の朝、北湾の河口の土手の下、広い斜面で首を刎ねられることになった。この日の明け方は何日も続いていた雨模様とは一変して、朝日がやわらかく照っていた。土手にはたくさんの野次馬が集まっていた。

  麗しい日差しの下、地主の娘小青は日傘を差しながら、悲しみに打ちひしがれて土手に立ち尽していた。そばには侍従の二環もいた。

  がんじがらめに縛られて白い長袍を着た李銘がまた地主の娘小青と顔を合わせたとき、血のように赤い涙が小青の眼からゆっくりと流れ落ちた。一面の赤い光の中、地主の娘はぼんやりその異様で見慣れた目を見た。情景は渺茫としたものに変わった。

  冴えた刀の音が響いた後、地主の娘小青は水の中をこぐ櫓の音を聞いた。小青が振り向くと、一艘の船が北湾の河口を通り過ぎて行くところだった。彼女はかすかに白い長袍を着た李銘が船の舳先に立っているのを見た。その船はゆっくりと遠ざかって行った。

written by 林.向
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