≪愛恨奈何【最終回】≫
2004年2月12日 彼女は冷たく一杯の水を差し出した。「飲みなさい。山を下りたらのどが乾かなくなるわ。」水は清く澄んだ波を浮かべていた。これが忘川の水か?
私は一息に飲み干した。ありがとう、孟婆。これから私はお前を失ったことがどれだけ大きいことか永遠に知ることはない。
涙が哀愁に満ちた頬を流れた。彼女はやさしく私の胸に顔を寄せ無理やり笑った。「許してあげるわ。私はここで待っています。どの輪廻のときも私は許すことができるのよ。」
水沙はそっと唇を開いた。ひとすじの涙が口の中に隠れていった。そして彼女の目は生気を失った。蝶のように。彼女は昔のことはすべて忘れたのだ。私はうなだれ、ずっと微笑んでいた。そうこれが孟婆湯だったのだ。水沙、お前の涙なのだ。
私はあの橋を渡りかけた。その名前を覚えていた。“奈何(=どうしようもない)”。後ろには島がひとつある。島にはごく単純な形の山がある。山の上には氷のように青い瞳女がいる。絶世の美女だ。彼女とは永遠に千年の悲しみを乗り越えることはできない。
私のからだに1滴の娘の涙が残っていた。それは私にとっての解毒剤だ。私は明々と明かりが点る都市に向かって歩いていく。水沙、いつか私はこの涙を飲んで、次の輪廻でまた、私たちは愛し合うのだ。
◇“孟婆”についてはこちらのサイトに説明があります。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/8809/chinateastory/12gatsu.html
written by 羽虎
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004010822360192
私は一息に飲み干した。ありがとう、孟婆。これから私はお前を失ったことがどれだけ大きいことか永遠に知ることはない。
涙が哀愁に満ちた頬を流れた。彼女はやさしく私の胸に顔を寄せ無理やり笑った。「許してあげるわ。私はここで待っています。どの輪廻のときも私は許すことができるのよ。」
水沙はそっと唇を開いた。ひとすじの涙が口の中に隠れていった。そして彼女の目は生気を失った。蝶のように。彼女は昔のことはすべて忘れたのだ。私はうなだれ、ずっと微笑んでいた。そうこれが孟婆湯だったのだ。水沙、お前の涙なのだ。
私はあの橋を渡りかけた。その名前を覚えていた。“奈何(=どうしようもない)”。後ろには島がひとつある。島にはごく単純な形の山がある。山の上には氷のように青い瞳女がいる。絶世の美女だ。彼女とは永遠に千年の悲しみを乗り越えることはできない。
私のからだに1滴の娘の涙が残っていた。それは私にとっての解毒剤だ。私は明々と明かりが点る都市に向かって歩いていく。水沙、いつか私はこの涙を飲んで、次の輪廻でまた、私たちは愛し合うのだ。
◇“孟婆”についてはこちらのサイトに説明があります。
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/8809/chinateastory/12gatsu.html
written by 羽虎
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004010822360192
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