ロブリンカへ行く車中。運転手はとても賢そうなチベット族の若者だった。肌は高原特有の黒さで、目は大きくて力強く、髪は少しカールしていた。小さい頃観た映画“農奴”という映画のチャムパを思い起こさせた。

  彼の中国語はあまり流暢ではなかったが、私たちと話すのには十分だった。チベットの老人は夜中の3時に起きてマニ車を回しているだとか、遠くから来る人たちは1年間養った牛を殺し、道中それを売り歩きながらラサ巡礼の旅費にあてるのだとか、彼らチベット族の男たちが好むチベットの刀は……などといった話を聞かせてくれた。言葉は飾り気がなく素朴で、私が他の土地で出くわしたタクシー運転手の如才なさやずる賢さなどは全くなかった。

  彼は私がポタラ宮殿の入場券を100元で買うという話を聞き、びっくりしていた。彼らはたった3元で入れるというのだ。車を降りると、券を買うときには絶対付き合ってやると言ってくれた。そうやって買えばずっと安く買える、と。彼の親切心には抗えず、彼に買いに行ってもらった。彼は入場係に私が買わないのがバレるといけない、と言って、わざわざ私を車で待たせておいた。実はすぐに券は買えても入場できないことがわかったのだが、彼の素直でまじめで義理堅いところにはほんとうに感動させられる。手に彼が私に買ってくれたチベット族専用の小さな券を持ち、私はお礼を言った。彼の車が遠くに走り去るのを見届けてから、入場口へ向かった。私が入れてもらえないところを彼に見られて、戻って来てケンカでも始まるとまずい、と思ってのことだった。やはりもう1度旅行客専用の券を買わなければならず、それでやっと入ることができた。しかしあの愛すべきチベット族の友人がこの冬の異郷の地で私にくれた太陽の日差しのような友情は、心の中をとても温かくしてくれた。

written by 阿依黛
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004010612542301

参考サイト(画像と用語の解説を参考にさせていただきました)
http://www.tibethouse.jp/home.html

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索