≪天国を行き交う人々★ラサへの旅【3−3】≫
2004年2月25日 私は人波とともにひとつひとつの寺院に入っていった。彼らはどの仏像の前の乳脂ランプにも乳脂を注ぎ、注ぎながらブツブツとお経を唱えている。そのあと手にした1毛ぐらいの札束の中から一枚を抜き出しそこに置いた。彼ら自身は決して裕福ではない。着ている服はすでに古び、ここへ来るときの道中のつらさもまだ癒えていないのだが、自分の手の中の多くもないお金を寺院に置いていく。ここは彼らの心の中の聖地だから。彼ら遥か遠い地方で来る日も来る日もここに来ることを待ち望んでいたのだから。大殿の中には一人の年長のラマが見える。お経を読む位置に坐って経文を見ている。このラマたちは私にとって最も神秘的だった。残念ながら、私はチベット語の経文が聞き取れない。ただすれ違うときに微笑んで会釈するだけだった。彼らは一目で私の未来を見通すのだろうか。私がどこから来たのかわかるのだろうか。でも私は信じたい。ラマたちの慈悲の眼差しで洗礼を受け、私はきっと幸運を授かるだろうと。
一群の人々がひとりの長いお下げ髪の老女の後についてお経を読んでいる。殿門を出ると、左側の壁には巨大な絵がかかっている。絵はとても抽象的で、私には理解できない。ただその老女が絶えずチベット語でその真ん中の絵を指しながら大きな声でお経を読んでいるのだけはわかる。表情は厳かで恭しく、多くの人が手を十字に合わせて祈っている。どうしてかわからないが、まるで彼らが私の見えないものを見ているように思えた。あるいは霊魂なのか。ここまで思い至ると、少し……急いでその場を離れた。
written by 阿依黛
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004010612542301
参考サイト(画像と用語の解説を参考にさせていただきました)
http://www.tibethouse.jp/home.html
一群の人々がひとりの長いお下げ髪の老女の後についてお経を読んでいる。殿門を出ると、左側の壁には巨大な絵がかかっている。絵はとても抽象的で、私には理解できない。ただその老女が絶えずチベット語でその真ん中の絵を指しながら大きな声でお経を読んでいるのだけはわかる。表情は厳かで恭しく、多くの人が手を十字に合わせて祈っている。どうしてかわからないが、まるで彼らが私の見えないものを見ているように思えた。あるいは霊魂なのか。ここまで思い至ると、少し……急いでその場を離れた。
written by 阿依黛
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004010612542301
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