私は尋ねました。「お前は誰が桃花を殺したのか知っているのか?」そのサルは「はっはっはっ。」としきりに笑っております。「先に自己紹介しようじゃないか。オレ様は姓は孫、お釈迦様がつけてくださった名前が‘悟空’、お前はオレ様のことを‘悟空’と呼んでもいいぞ。お前は?」私は言いました。「私は鉄蛋。悟空だって?まるで坊さんの名前だな。」悟空は大笑いしました。「坊主、お前なかなか頭がいいな。オレ様は道家の出身なのさ。」私は疑わしい目つきでサルを見ました。「お前サルだろ?どうして頭だけ残ってるんだ?」悟空は「はっはっはっ。」と怪しい笑いを浮かべております。「オレ様はたしかにサルだ。オレ様の身体はこの山に押しつぶされているんだ。だから頭だけなのは当たり前の話だ。そのわけはというと、話が長くなるし、お前のような坊主には話してもわからんだろう。」私はそのとき鼻で笑いました。実は私は村の塾でいちばんの成績だったのでした。私は言いました。「お前が人間だろうがサルだろうがかまわんが、豆子がどこへ行ったのか知らんか?」悟空は尋ねます。「豆子というのは昨日ナタでお前と娘を切りつけた坊主か?」私は尋ねます。「どうしてお前は何でも知っているんだ?」悟空は笑います。「この山の四方数十キロで起こったことなら知らないことはない。オレ様はその豆子というヤツがどこへ行ったか知っているぞ。でも、お前には教えてやれないな。教えてやったって仕方ない。」私は大声で問いただしました。「なぜだ?私は仇討ちをしたいんだ。」悟空は笑います。「お前が仇を討つって?言っておくが、桃花は豆子に殺されたわけじゃないんだぞ。」私は不思議に思いました。「じゃ、誰だ?」悟空は言いました。「お前だ。」
年老いた乞食がここまで話し終わったとたん、旅館じゅうがどよめき出した。みなは驚き訝り年老いた乞食を見た。年老いた乞食はみなに静まるように手まねして、話を続けた。
written by 白玉堂
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004011823351608
年老いた乞食がここまで話し終わったとたん、旅館じゅうがどよめき出した。みなは驚き訝り年老いた乞食を見た。年老いた乞食はみなに静まるように手まねして、話を続けた。
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