≪悟空【11】≫

2004年3月11日 連載
  私が目を覚ましたとき、悟空はすでに笑って私を待っておりました。彼はずっと私に教えませんでした。いったい何が起こったのかを。彼は言いました。「坊主、帰ってもよいぞ。坂道に沿って下って行けば峰を越えあの日の倆界山にたどり着く。」私は尋ねました。「それでは私はどうやってここに来たんだ?」悟空は笑って言いました。「ある人がオレ様を脅して、お前をここに連れて来させたのだ。」私は疑わしく思い尋ねました。「誰?」悟空は言いました。「その人はオレ様自身だ。」私は冷ややかに笑いながら、心の中ではこのサル私の一撃で頭がおかしくなったのだな、と思っておりました。悟空は言いました。「お前が帰った後、また戻って来ることになる。時期が来ればお前にある物をやろう。」私は尋ねました。「どうして私は戻ってこなきゃならないんだ?お前みたいなサルを見ると、気分が悪い。」悟空は笑ったまま何も言いませんでした。

  私は振り向きもしないで山を下りて行きました。遠くに村が見えたころ、村からひどく煙が上がっているのを見つけました。まるで火が着いたようでした。私は急いで駆け出しました。近くに来たとき、やっと官兵が村で略奪をしているところだとわかりました。すべての家に火がつけられ、大きな火が際限なく広がっていき、そらを真っ赤に染めました。私の家族や隣人、仲間たちの助けを求めるすさまじい叫び声が聞こえました。私は目の前が真っ暗になって、意識を失いました。

  私が起きるころには空は真っ暗になっていました。死んだような静寂です。私は少しだけはいずってみました。村は一面死体だらけでした。家族もおりましたし、知り合いもすべてその中におりました。悲痛の中、私には急におかしな考えが浮かびました。人は死ぬとどこへ行くのだろう?地獄というところに行くのだろうか?私は村でまる2日間もずっと坐っておりました。

written by 白玉堂
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004011823351608

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