「イ肖児、イ肖児、」私はその声で目が覚めた。見ると母后が優しく見つめていた。この上ない優しさを感じた。「イ肖児、目が覚めたのね!!」私は慌てて母后に尋ねた。「あの男は誰?」

  母后は笑って答えた。「イ肖児、お前が今見たのは夢。お前の成人の夜から今までのところはただの夢。でも、夢の中の男はお前の未来の運命の人なのよ。さあ、慌てないで。お母さんにその人の様子を話してごらん。」

  私は困ったように笑った。夢だったのか。母后は子供のような好奇心で私を問い詰めた。

  私は正直に母后に話した。「あの人、簫を吹いていたわ。」

  母后の顔色がたちまち変わった。私はこの夢の大切さに気づき、続けざまに問い詰めた。母后は黙して語らず、私は引き下がるしかなかった。

  その後数日のうちに、母后はどんどん年老いていった。父王の目には悲しみがあふれていた。私はもう問い詰めたりはしなかった。ただ、母后のことが心配だった。

written by 羽貝
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