≪夢死【2】≫

2004年3月26日 連載
  そう、今は彼にとって収穫の時期だ。19歳のころからこういう努力を始めたのは、間違いではなかった。だから彼はある種の神秘的な力に感謝している。この力は19歳になる前からすでに彼がするべきことをすべて予定していた。

  物心ついてから、眠りさえすれば途切れることなく夢を見てきた。その後、彼は知ることになる。:夜には、自分のまぶたは透明になり、珍しい形の色とりどりのものが、つかの間移ろって行く。そのイメージが、先を争ってこの狭いスクリーンに映し出される。そのとき、他の人にこの尋常でない状況をどのように説明すればよいのか彼にはわからなかった。

  彼のまぶたは透明になる。まぶたを透過して、昼間の60倍ものものが見える。毎晩見るのは天然色の、濡れない羽毛を持った、ゆらゆら空を飛ぶゾウ;美しい花園が見える。清らかな渓流の川縁には2種類の不思議な花が咲いている。―――ひとつは萎れない花、もうひとつは花が散って、枝から離れたとたんにヒラヒラと舞う美しい蝶になる花。;青々とした草原が見える。そこでは数え切れないほどの駿馬が川で水を飲んでいる。;ピラミッドの中のファラオが見える。彼は水の流れのような明るく伸びやかな音楽の中、権威の杖をしっかりと握っている。;海流に漂うタツノオトシゴが見える。その子供たちは黒い目を輝かせ、サンゴ礁の中で遊んでいる。;木の葉が集まってまん丸になっているのが見える。びっしりと固まって、海面上空をフワフワと浮かんで、海の上の森を形作っている……毎晩彼は目の前の美しく不思議な情景に引き込まれる。そして知らぬ間にさらに深い夢の中に入りこんでいる。

written by 發炎
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004030209405236

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索