≪夢死【3】≫

2004年3月27日 連載
  しかし、19歳の年のある朝、たまたま複雑で散らかった夢の世界を思い出しているときのことだった。彼はとても驚いた。;今まで何千何万と夢を見てきたが、どうしてどの夢にも水が出てきたのだろう?いつも水が夢に出てくる。どの夢の中にも。

  そしてすぐ、ある考えがひらめいた。;そうだ。夢には何か意味があるんじゃないのか!お告げみたいなものなんだ。夢の内容は保存できるということだ。もしこれがほんとうなら、夢の世界は創り出せるということだ。少しずつ付け加えができるとしたら、夢の中に光り輝く宮殿を造ることができる。

  この後、彼は世界でいちばんまじめに夢を見る人になった。

  しかし、しばらくすると、はっと気がついた。一挙にそんな夢の宮殿を建てようたって無理だ。夢の中には何もかもそろっているから、その複雑さは現実世界に勝るとも劣らない。

  彼にはわかった。;いちばん小さなものから、いちばん単純なものから、用心深く一歩一歩彼のあこがれの世界を構築していかなければならないのだ、と。

  しかし、世界でいちばん単純なものとは何だろう?どんな小さなものでも、アリ一匹にしたって、砂一粒にしたって、みな複雑な面を持っている。表面上は単純でも、内部はわからない。それに、ものは例外なく近づいて細かいところまで見れば見るほど複雑になる。内部の複雑さがものを系統立てていると言えるかもしれない。

written by 發炎
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004030209405236

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