≪夢死【6】≫

2004年3月30日 連載
  さらに多くの時間を夢見ることに使うために、彼は家を売って金に換え、蓄えを注ぎ込んで充分な食物等の生活必需品を買い、人が足を踏み入れることもないようなこの森にやって来た。人里離れて孤独に暮らし、計画の進度をスピードアップした。

  彼は計画的に毎日の睡眠時間を長くしていった。―――16時間、18時間、20時間、22時間……これは難しいことではなく、しようと思っただけですぐ実現した。

  彼は太陽、月、星、川や山、草花樹木、鳥や獣も完成させ、ついにはすべての葉の色まで変えてみせた。今ではこの世界は(すべての仔細を含めて)すべて完成している。頭の上をゆっくりと流れる300種類の色を使った雲を見ながら、彼は思った。:これらすべては、オレが創り出したのだ!

  そうだ。これはコピーなどではなく、創造、そう、創造されたのだ!彼は初めから現実のものの仔細を考えたりせず、ただ自分の好みに従っただけなのだから。これは完全なる創造だった。

  20数年経って初めて、彼は暇な時間ができた。そしてすぐ、この問題に思い至った。:この世界で、いちばん何がほしいのか?

  当然、女だ。彼はもう一度そう言った。

written by 發炎
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004030209405236

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索