どれぐらいの時間がたったのだろうか。ミートはだんだん目が覚めてきた。ゆっくりと目を開いたが、目の前は真っ暗で何も見えなかった。彼は自分の目がおかしくなったのだと思った。そして、あたりを見回して、やっと夜になったのだということがわかった。

  「ミート!目が覚めたの?」ローラの声だった。声のするほうに目をやると、ローラの赤く泣き腫らした目が見えた。

  「ローラ、あ……」ミートは立ちあがった。思わず尻尾を踏んづけて痛みが走った。振り向いて見ると、尻尾は半分しか残っていなかった。そして小さな血だまりができていた。

  「ミート……」ローラは何か言おうとして口を開いたが、こんなときに何を言っても気持ちを伝えることはできないと思い、また口をつぐんだ。申し訳なさ、感動、そして心痛、そんな気持ちでミートを見つめた。

  ミートは軽く尻尾を振ってみた。痛みはそんなにひどくはなかった。彼はローラに安心するように言った。そして小さな鉄の扉に近づいて行った。小さな鉄片がしっかりとスプリングロックを覆ってしまっていて、そこに彼の半分に切れた尻尾が挟まっていた。どうやら、小さな鉄の扉を開けるのは不可能になったようだ、とミートは思った。彼はそこらじゅうくまなく調べた。小さな鉄の籠にはもう他に逃げ道はなくなってしまった。

  ローラはミートが籠の周りを行ったり来たりするのを見て、悲しそうな表情を浮かべた。そして心配して尋ねた。「ミート、もう逃げる方法はなくなったの?」

  「ううむ……」ミートは低くつぶやいた。「まだ最後のどうしようもない方法があるさ―――鉄柵をかじってみるのさ。」

  「え?!そんなことできるの?」ローラはびっくりして尋ねた。

written by 一線雲児
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004020609485951

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索