≪ミートとローラ【6−1】≫
2004年4月15日 連載六
どれぐらいの時間がたったのだろうか。ミートはだんだん目が覚めてきた。ゆっくりと目を開いたが、目の前は真っ暗で何も見えなかった。彼は自分の目がおかしくなったのだと思った。そして、あたりを見回して、やっと夜になったのだということがわかった。
「ミート!目が覚めたの?」ローラの声だった。声のするほうに目をやると、ローラの赤く泣き腫らした目が見えた。
「ローラ、あ……」ミートは立ちあがった。思わず尻尾を踏んづけて痛みが走った。振り向いて見ると、尻尾は半分しか残っていなかった。そして小さな血だまりができていた。
「ミート……」ローラは何か言おうとして口を開いたが、こんなときに何を言っても気持ちを伝えることはできないと思い、また口をつぐんだ。申し訳なさ、感動、そして心痛、そんな気持ちでミートを見つめた。
ミートは軽く尻尾を振ってみた。痛みはそんなにひどくはなかった。彼はローラに安心するように言った。そして小さな鉄の扉に近づいて行った。小さな鉄片がしっかりとスプリングロックを覆ってしまっていて、そこに彼の半分に切れた尻尾が挟まっていた。どうやら、小さな鉄の扉を開けるのは不可能になったようだ、とミートは思った。彼はそこらじゅうくまなく調べた。小さな鉄の籠にはもう他に逃げ道はなくなってしまった。
ローラはミートが籠の周りを行ったり来たりするのを見て、悲しそうな表情を浮かべた。そして心配して尋ねた。「ミート、もう逃げる方法はなくなったの?」
「ううむ……」ミートは低くつぶやいた。「まだ最後のどうしようもない方法があるさ―――鉄柵をかじってみるのさ。」
「え?!そんなことできるの?」ローラはびっくりして尋ねた。
written by 一線雲児
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004020609485951
どれぐらいの時間がたったのだろうか。ミートはだんだん目が覚めてきた。ゆっくりと目を開いたが、目の前は真っ暗で何も見えなかった。彼は自分の目がおかしくなったのだと思った。そして、あたりを見回して、やっと夜になったのだということがわかった。
「ミート!目が覚めたの?」ローラの声だった。声のするほうに目をやると、ローラの赤く泣き腫らした目が見えた。
「ローラ、あ……」ミートは立ちあがった。思わず尻尾を踏んづけて痛みが走った。振り向いて見ると、尻尾は半分しか残っていなかった。そして小さな血だまりができていた。
「ミート……」ローラは何か言おうとして口を開いたが、こんなときに何を言っても気持ちを伝えることはできないと思い、また口をつぐんだ。申し訳なさ、感動、そして心痛、そんな気持ちでミートを見つめた。
ミートは軽く尻尾を振ってみた。痛みはそんなにひどくはなかった。彼はローラに安心するように言った。そして小さな鉄の扉に近づいて行った。小さな鉄片がしっかりとスプリングロックを覆ってしまっていて、そこに彼の半分に切れた尻尾が挟まっていた。どうやら、小さな鉄の扉を開けるのは不可能になったようだ、とミートは思った。彼はそこらじゅうくまなく調べた。小さな鉄の籠にはもう他に逃げ道はなくなってしまった。
ローラはミートが籠の周りを行ったり来たりするのを見て、悲しそうな表情を浮かべた。そして心配して尋ねた。「ミート、もう逃げる方法はなくなったの?」
「ううむ……」ミートは低くつぶやいた。「まだ最後のどうしようもない方法があるさ―――鉄柵をかじってみるのさ。」
「え?!そんなことできるの?」ローラはびっくりして尋ねた。
written by 一線雲児
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