≪小雨そぼ降る四月の空【3−2】≫
2004年4月27日 連載 私は如眉がいちばん受けたがっていた高校に合格した。しかし、私はだれとも同じ机にすわらないと頑張り続けた。ひとりで教室の最後尾の列にすわっていた。私は頑固にここは如眉の場所だと思っていたのだ。隣りの空席を見るたびに如眉のことを思い出した。如眉の暖かかった手を思い出した。如眉の鈴を転がすような笑い声を思い出した。如眉の歌った歌を思い出した。“私が子供のころ、さわがしくわがままだったころ、おばあさんが歌を歌って私をあやしてくれた、夏の日の午後、昔々の歌が私を癒してくれた、あの歌は確かこんなふうだったはず:空は真っ暗今にも雨になりそう、空は真っ暗暗……”
放課後の帰り道、私は何度も如眉にそっくりな女の子を見かけた。私からそう遠くないところに現れるのだが、あわてて追いかけると影も形もなく消え去ってしまう。振り向くとその女の子はそこに立って空を見つめている。透き通った瞳に流れるものは尽きることのない悲しみだった。
こんな幻覚をずっと消し去れなかった。如眉は私の心の中で渦巻いて、どんどん沈んでいった。どれだけ深いかわからない底なしの穴に沈んでいった。
written by 連鋒
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004031315545107
放課後の帰り道、私は何度も如眉にそっくりな女の子を見かけた。私からそう遠くないところに現れるのだが、あわてて追いかけると影も形もなく消え去ってしまう。振り向くとその女の子はそこに立って空を見つめている。透き通った瞳に流れるものは尽きることのない悲しみだった。
こんな幻覚をずっと消し去れなかった。如眉は私の心の中で渦巻いて、どんどん沈んでいった。どれだけ深いかわからない底なしの穴に沈んでいった。
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