「如眉、君なのか?」私は思い切って彼女に近づいていった。

  少女の手は一瞬止まった。そしてゆっくりと頭を捧げもって、そっと首の上に置いた。長い髪が顔を覆い隠していた。彼女は髪をかきあげると、頭の前と後ろを間違えて置いたことに気づいた。そして両手に力を込めてねじると、頭はまともな位置に収まった。しかし長い髪は顔を覆ったままで、まるで雨後の野原に生えた巨大なキノコのようだった。

  彼女のか細い手が前髪をかきあげた。そして私は彼女の顔を見た。そう、まさしく如眉だった。

  如眉は私を見ていた。涙がどっと流れ出し、彼女はそれをぬぐった。はらはらと流れる涙といっしょに、目玉まで流れ、彼女の手のひらに落ちた。涙は血のような赤さに変わった。

  彼女は目玉を元に戻したが、悲しみで涙が止まらず、何度も目玉を流れ落とした。入れては飛び出し、飛び出しては入れるの繰り返しだった。悲しみはとどまるところを知らなかった。

  私が如眉に近づいていくと、彼女は手を差し出した。しかし、それをつかむことはできなかった。すべては一瞬で幻と化し、如眉は煙のように私の指をすり抜けていった。

  一面のピンク色の花びらが水面に揺れ、立ち込めた香りが私のそばをかすめていく。すべてはまるで夢のようだった。

  私は谷川縁の青々とした草地に腰を下ろし、サラサラと流れる川の流れを見ていた。そして、ふと、私の如眉がほんとうに水のように遠くへ去ってしまったのだ、と感じた。

written by 連鋒
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004031315545107

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