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  かすかな意識の中、突然私を呼ぶ声がした。彼らが私を探しているのだ。目の前の小川は桃の林の奥を通り、生い茂る桃の林に囲まれて、普通の人には見つけにくい状況であるということがやっとわかった。

  彼らの声がだんだんと近づいてきた、と思うと、また遠ざかっていった。私は答えなかった。私には自分のための小さな空間が必要だった。狼狽した心を整理する必要があった。

  どれくらい時間が経っただろう。誰かが私のほうへ向かってくる足音を聞いた。そして私のそばにそっと腰かける気配を感じた。私が振り向いてみると、それは転校生の女の子だった。私はうつむき、気にも留めずに、流れる水と向かい合っていた。

  彼女は微笑みながら私を見ていた。そして手を差し伸べた。:「こんにちは、私、小雨です。」

  私は頭さえも上げなかった。:「ああ、四毛だ。」

  「私、あなたの名前は知っています。」彼女は私を見て笑った。鈴の音のような笑い声を聞くと、そばに如眉がいるのでは、と思ってしまう。

  そのあとしばらくの間、沈黙が続いた。私たちの目の前の桃の花だけが風に吹かれてはらはら舞い、にぎやかに谷川へと落ちていった。まるで夢をいっぱいに載せたたくさんの小船がふわりふわりと流れて行くようだった。

written by 連鋒
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004031315545107

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