私は頭をもたげた。桃の木にはのたくったような2行の字が彫ってあった。:四毛は大ブタ、如眉は子ブタ。上の行はわりにきれいな字だ。如眉が小刀で彫ったものだった。下の行はいい加減な汚い字だ。私が石ころで書いた字だった。

  でも、私と如眉が字を書いた桃の木がこんなところにあるとは思ってもいなかったので、ちょっと驚いた。

  「ほんとはね、あなたが心の中で思い浮かべるだけで、それは必ず現れるのよ。」小雨は微笑んだ。「ほら……」

  小雨が指す方向を見ると、ほんとうにどの木にも見慣れた2行の字が書いてあるのが見えた。今このときに、私と如眉が桃の林の中で追いかけっこをしているかのようだった。如眉は私のことを大ブタだと言い、私は彼女のことを子ブタだといって追いかけて……

  しかし、私が桃の木の前まで行くと、木に書いた文字はパッと消え去ってしまった。やはりすべては幻だったのだ。

  彼女は如眉ではないにせよ、少なくとも魔法使いではあるようだ。

  もしかしたら、彼女は私が如眉を探すのを助けてくれるのでは、と思った。

written by 連鋒
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004031315545107

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