≪小雨そぼ降る四月の空【7−3】≫
2004年5月7日 連載 車はゆっくりと出発し、だんだんとスピードを上げていった。私と小雨は車の中で右へ左へと揺られていた。小雨の額はもう少しで硬い座席の背もたれにぶつかりそうになった。私は大声で言った。「運転手さん、もう少しゆっくり運転してもらえませんか?」
運転手は答えなかった。ただ身の毛もよだつような冷ややかな笑い声だけが聞こえた。
薄暗いライトで照らし出され、音をたてて過ぎてゆく道端の並木が、突然いっせいに牙をむき爪をふるいだした。小雨はびっくりして私の胸に飛び込みからだじゅうを震わせた。私はしっかりと彼女の手を握り、「怖がらなくてもだいじょうぶだ。」と、なだめた。
車のライトが突然消えた。小雨は震えながら私の名を叫んだ。「四毛、四毛!」
「ボクはここにいるよ、小雨。ボクはここだよ。」
その後、ライトが再び点灯したが、不思議なことに運転手は影も形もなく消え失せ、ハンドルだけが右へ左へと動いていた。スピードもだんだんと上がっていった。
written by 連鋒
http://wind.yinsha.com/letters/show.phtml?aid=2004031315545107
運転手は答えなかった。ただ身の毛もよだつような冷ややかな笑い声だけが聞こえた。
薄暗いライトで照らし出され、音をたてて過ぎてゆく道端の並木が、突然いっせいに牙をむき爪をふるいだした。小雨はびっくりして私の胸に飛び込みからだじゅうを震わせた。私はしっかりと彼女の手を握り、「怖がらなくてもだいじょうぶだ。」と、なだめた。
車のライトが突然消えた。小雨は震えながら私の名を叫んだ。「四毛、四毛!」
「ボクはここにいるよ、小雨。ボクはここだよ。」
その後、ライトが再び点灯したが、不思議なことに運転手は影も形もなく消え失せ、ハンドルだけが右へ左へと動いていた。スピードもだんだんと上がっていった。
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