假鈔【1】

2004年6月19日 連載
  局機関事務員の江峰が給料を受け取る。出納係の白艶が彼に100元札の束を手渡す。彼は自分の目で白艶の白魚のような指が8回札を数えるのを見た。機関一の美人でバツイチの女性の前で、江峰は少し紳士的に振る舞おうとしていたが、目の前で白艶が数え終わりましたよ、と言うのも耳に入っていなかった。帰宅すると、彼は給料をニコニコ顔の妻に渡した。妻は喜び勇んで札束を数え、ポケットからシワシワのはした金の札を数枚取り出して、彼の手に握らせた。江峰は急いで金をポケットに押し込んだ。

  次の日、江峰が仕事から帰ってくると、妻が家からずっと離れたところで怒り心頭の様子で出迎えた。妻は1枚の100元札を取り出すと、江峰に向かって言った。「このウスノロ、どうして偽札だってこともわからないのさ!」江峰は動揺して血の気が引いた。足早に妻の手を引き、家に入った。通りで人に見られてはまずいと思ったからだ。江峰が見てみると、まさに偽札だった。妻が貯金をしようとしたときに気づいたのだと言う。そうでなければ銀行員に見つかって没収されていただろう。妻は銀行員に冷やかされた後、江峰に会って、彼に八つ当たりしたのだ。「あんた、機関の妖精ちゃんに夢中になってるんじゃないの!」

  江峰は女性と言い争いはしたくなかった。女の話はいつでも正しい。

  江峰は心の中で思った。「オレは昨日金をもらって帰った。そのときお前は1枚1枚見てたんじゃなかったのか?」

  でも、彼の口ではそんなことは言えなかった。「すぐに白艶のところに行って、代えてもらって来るわ。」

  妻はからかって言った。「あんたはメンツばっかり気にしてるからね。局長クラスなら、彼女もあんたに身を任せたでしょうにね!」

  局長と言えば、江峰には思い当たる事があった。白艶が男と別れたとき、まさに局長のお眼鏡にかなって、白艶は局直属の2級部門から機関管理財務に移動してもらったのだった。局長のことや白艶の白魚のような指を思い出すと、江峰は偽100元札を交換してもらう勇気が失せた。歩みもしだいに遅くなっていくのだった。

written by 司馬村
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