観音様絵を送る

2004年9月16日 連載
  ある年、杭州城で疫病が流行した。折悪しく凶作も重なって、人々は貧しさと病に苦しめられ、とても悲惨な状況だった。

  ある日、城内の湖のほとりに1艘の大きな船が泊まった。船首には美しい女性が座っていた。彼女は貧しく病にかかった人々を助けるためにやって来たのだ。もしお金を出して彼女を買う人がいれば、その人にために家に住み込み、世話をする。手に入れたお金は人々を救うために使うのだ。

  岸辺の人々は先を争って彼女を買おうとし、お互いに譲らなかった。そこで、お金を投げるという方法で決めることになった。彼女にお金が命中した人が、彼女を連れて帰るのだ。

  そして、銅銭、黄金、白銀が次々と投げ入れられた。へさきにはうず高くお金がたまっていったが、1枚も彼女に命中しなかった。皆はがっかりし、あきらめざるを得なかった。

  女性は微笑んで岸辺の人々に合掌してお礼をした。集められたお金は1枚残らず、貧しい人々に施された。

噂が広まり、杭州城じゅうが騒ぎになった。金持ちたちは彼女の義侠心にあふれる行動に感動し、次々と気前よくお布施した。そして、病人は薬を手に入れることができ、貧しい人々はお金を手に入れ、飢えた人々は食物にありついた。人心は安らぎ、満ち足りた。

  突然、女性の乗った船から色とりどりの光がキラキラと発せられたかと思うと、ありがたい厳粛なお顔の菩薩が現れ、合掌して微笑んでいるのだった。皆はとても不思議に思い驚いた。

  彼女は言った。「私は観世音菩薩です。私が来たのは皆の思いやり慈しみの心を呼び起こすためです。同情、憐憫は最も尊い気持ちです。人を助けることは最も崇高な責任です。弱いもの小さなものを助けることは、天から与えられた逃れることができない仕事です。今日のそなたたちの態度は十分賛美に値します。皆幸福を得ることになるでしょう。」

  衆人は感動し喜び、期せずしてみな合掌し、観世音菩薩の名を呼んだ。

  観世音菩薩は彼らに絵を送った。彼女の約束は実現することになった。彼女はほんとうにお金を出し善をなした、どの人の家にも住まうことなったのだ。

  この話は中国全土に遍く広まり、人々の観世音菩薩に対する信仰を深めたのであった。

http://www.zhshw.com/story/2003-12/20031211222105.htm

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